テレホン法話のお話し
お知らせ
境内のイチョウもきれいな金色に色づくこの季節になると、私は、数年前に亡くなった親友のことを思い出します。その友人とは、中学、高校、大学、大人になっても「あかさん」「なっさん」と呼び合い、いろんな場所で楽しい時間を過ごしました。
彼と少しでも一緒にいたくて同じ塾に通い、そのおかげで志望の高校にも合格することができました。彼の周りに集まる友人達とも仲良くなり、今でも親友と呼べる多くの友達ができました。彼の紹介のおかげで今の家内とも結婚することができました。
彼と親友達と過ごした時間は、今でも、「あの頃は楽しかった。」と思い返すような時間の連続でした。彼は、私にとって特別な存在でした。
しかし、互いに家庭をもち、私が岐阜に住むようになってからは、年に数度しか会えなくなりました。そんな折に、彼が急に亡くなったことを聞きました。お葬式での、最後の別れの時には、「また、会おう」と声をかけて見送りました。
禅語の中に「生我者父母 成我者朋友」(われをうみしものはふぼ われをなせしものはほうゆう)という言葉があります。「この世に送り出してくれてのは両親だが、私の事を理解し、私を私としてくれたのは友人だ。」という意味です。
彼は、私にとってまさに、この禅語の言葉どおりの友人でした。今の自分を作ってくれたのは彼の存在が大きかったと思います。彼と出会えたことに本当に感謝しています。
日々いろいろな事があり忙しい毎日、個人の考えが尊重される時代ですが、みなさんと縁のある人との関係を見つめていただき、「今の自分を作ってくれた人」の気持ちや思いを想像し、感謝するだけでなく、「今の自分を支えてくれている人」への感謝の気持ちもって過ごして下さい。
そして、皆さんも誰かにとっての特別な存在になってください。